DCMは安易なハウツーではありません。ゆっくりと確実にパーソン・センタード・ケアに近付いていくツールです。
そのようなDCM法を活用し、私たちが目指すのは、「人と人との誠実なつながりを深め、尊重し合う相互関係をつくることです。
つまり、介護する側・される側の区別なく、「私は必要とされている」と感じられる相互関係をつくることです。
DCMは”パーソン・センタード・ケア”の理念に基づいています。
パーソン・センタード・ケアは、英国のブラッドフォード大学の故トム・キッドウッド教授によって提唱された認知症ケアの一つの理念です。DCM日本人トレーナー会では、「その人を取り巻く人々や社会と関わりをもち、人として受け入れられ、尊重されていると、本人が実感できるように、ともに行っていくケア」(2009)と表現しています。
DCMは、このパーソン・センタード・ケアの理念を実践するために、 認知症ケアの現場で、何千時間という観察をへて、考案されました。 認知症を抱える人の視点に立とうとすること、また、その人の可能性に着目すること等の考え方が盛り込まれています。
研修を受けたDCM使用者をマッパーと呼びます。マッパーは、認知症を抱える人々の視点に立って観察法を実践・評価し、その結果を介護現場のスタッフにフィードバックします。それをもとに、スタッフと一緒に、ケアのあり方について考えていきます。
DCM法では、認知症を抱える人たち5名前後をグループホームや特別養護老人ホーム等の施設の共有スペースにおいて、6時間以上連続して観察し、5分ごとに記録を行います。これをマッピングといいます。
マッピングでは、つぎのことを記録します。
これらを表にしたものをマップ(地図)と呼び、このマップをみれば、その人がどのようなケアを受けていて、どのような状態にあるのかの概観をつかむことができます。
マッピングの「第8版データ処理シート」のダウンロードはこちら
DCMを行うと、施設で暮らす認知症を抱える人々の生活の質とそれらに影響を及ぼしているケアの質が評価されます。
それらをもとに、個別ケアプランへの反映、ケア組織の改革、スタッフの人材育成、研究活動などに活用されています。
(認知症ケアマッピングを用いたパーソン・センタード・ケア実践報告集1・2を参照下さい。)
水野 裕 ストラテジックリード・DCM認定上級トレーナー
村田 康子 DCM認定上級トレーナー
中村 裕子 DCM認定上級トレーナー
住垣 千恵子 DCM認定基礎トレーナー
桑野 康一 DCM認定基礎トレーナー
鈴木 みずえ DCM認定基礎トレーナー
阿部 邦彦 DCM認定基礎トレーナー